健夜「…咏ちゃん。ここには今他に誰もいないよ」 咏「…!」の続きです。


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靖子「ふぉんふぉにうまいふぁ」ガツガツ
まこ「食うか喋るかどっちかにしんさいや…」
靖子「…」ガツガツ
まこ「食うんかい!」

まこ「あー。もうこんなに床にこぼしてから…」」
まこ「掃除するんは誰って話…」
靖子「…」ガツガツ
まこ「布巾布巾…」
靖子「…」ガツガツ

まこ「ついでに床掃除するか…」バケツバケツ
靖子「…」ガツガツ
まこ「よいしょ、っと…」モップモップ
靖子「ごちそうさん」
まこ「はい、おそまつさん」フキフキ

靖子「本当に美味いな」
まこ「ん?カツ丼かいな?」フキフキ
靖子「ああ、最高の味だな」
まこ「そら、ありがとさん」フキフキ
靖子「ずいぶんとのんびりしてるな?」
まこ「お客さんもいないしのう」フキフキ
靖子「いや、掃除じゃなくてさ」タバコクワエー
まこ「ん?」
靖子「秋季大会」
まこ「…ああ。そのことかい」フキフキ

靖子「清澄はお前以外チーム決まってるだろ?」
まこ「和と優希はまだエントリーしてないみたいじゃけど」
まこ「まあ、久の話なら、ほぼ決まりじゃろうしね」
靖子「雑用君もエントリーしてたじゃないか」ハハハ
まこ「あれなあ…。あんたも噛んでるんか?」
靖子「…巻き込まれたくないからここに逃げてきたんだよ」
まこ「ふぅん…。あんまりウチの可愛い後輩をいじめんで欲しいんじゃが…」
靖子「瑞原さんに言ってくれよ」
まこ「やっぱり牌のお姉さん絡みかい」
靖子「特典試合目当てだろうな…」
まこ「小鍛治プロ…」

靖子「何やらこの間…」
靖子「非公式ではあるが、集まったらしいんだ」
まこ「小鍛治プロと瑞原プロが?」
靖子「おまけに野依さんと。伝説のあいつも含めて」
まこ「…!赤土晴絵かい…」
靖子「清澄としちゃあ、聞きたくない名前だよな」
まこ「あの人と阿知賀にゃ、してやられてもうたからね」
まこ「…ん?その組み合わせって…」
靖子「そう。あの時と同じだったらしい」
まこ「ほぉん…」

靖子「実際に打ったかどうか…」
靖子「そこら辺は分からないんだが」
まこ「まあ、その面子なら打つんじゃろね」
靖子「分からん。だけど今回のエントリー…」
まこ「着ぐるみきてってやつ?」
靖子「まさかとは思うがな」
まこ「…え。そんなことするん?」
靖子「やりかねん」
まこ「んなアホな。運営から止められるんじゃ…」
靖子「だったらエントリー時点で弾くだろ」
靖子「小鍛治プロもあの人達から逃げたと思われたくないだろうし」

まこ「ずいぶんとまあ…」
まこ「京太郎…。不憫な奴じゃ…」

靖子「人気者になるかもしれんな」
まこ「下手して決勝までいってしもうたら…」
靖子「いやいや、もしあの3人が本気でくるなら」
靖子「一体どいつらが止められるのか…」
まこ「あんたの目算では?」
靖子「…ほぼ100%勝ち上がる」
まこ「ほぼ?」
靖子「流石に牌のお姉さんも着ぐるみで打ったことないだろ?」
まこ「…。番組でやっとったと思うけど」
靖子「マジで?」
まこ「うん」
靖子「やべえなそりゃ…」
靖子「逃げてきて正解だったよ」

まこ「ほんま一応トッププロが…」
まこ「こんな平日の昼間っから…」

靖子「わたしはコクマ絡みって言い訳があるしさ」
靖子「それにいいだろ。閑古鳥ないてるんだし」
まこ「ぼちぼちじゃ!それに今は準備中の札掛けてきたわ!」
靖子「そんなに気を使わなくてもいいのに」
まこ「どの口が言うんじゃ…」

靖子「それで?」
まこ「なにが?」
靖子「秋季だよ秋季」
まこ「んー、まあのう…」
靖子「…わたしはさ」
まこ「ん?」
靖子「お前の麻雀が一番好きだ」
まこ「お、そうなんかい?」
靖子「というか、一番上手いと思う」
靖子「だが…」
まこ「そ。だが…。なんよねえ…」

靖子「本当にお前は、1人でいるとメンタル弱いよな」
まこ「なんじゃそら」
靖子「まあ久の相手してたらそうなるか」
まこ「あいつはほっておけんからの」アハハ
靖子「本当に強いのはお前みたいなやつだと思う」
まこ「褒めるのう」
靖子「茶化すなよ」
まこ「照れてるんじゃ」

靖子「向こう側には行かないのか?」

まこ「じいちゃんのためじゃねえ…」
靖子「ん?」
まこ「約束したんよ。じいちゃんに見せるって」
まこ「向こう側に行ったら…。それはもう、見せてあげられん」
靖子「境界線で危ない綱渡りしてるって感じか?」
まこ「いや、どっちに転んでも」
まこ「そこに地面は見えとるよ」
靖子「なるほど。それがお前の強さだな」
まこ「どっちにも行ける方が便利じゃろ?」
靖子「正攻法の麻雀で突き抜けられるか?」
まこ「そうしたいと思うとる」
まこ「じゃけど…」
靖子「そう。だけど、だな」

まこ「ま、否定する気はないけどの」
靖子「達観してるねえ」
まこ「諦観かもしれんけど」
靖子「…あの人達を止められるとしたら…」
まこ「ん?」
靖子「それはお前みたいな奴らだと思うんだ」
まこ「無茶言わんでよ」
靖子「わたしにゃあ、無理だったからなあ…」
まこ「なにを抜かしとるん」
まこ「虎視眈々と後ろから狙っとるくせに」
靖子「こっちはついてくだけで必死さ」
まこ「わざとやろ?」
靖子「まあ、な」

まこ「まくれるんかい?」
靖子「95900点差までなら」
まこ「そらそうじゃろうけど…」
靖子「まだそこまで離されてないからな」ニヤ
まこ「豪快じゃねえ…」
靖子「性に合ってるだけさ」

靖子「一撃で相手を沈めるのが」

まこ「そらよござんした」
靖子「…。お前秋季出ない気か?」
まこ「どうじゃろね?」
靖子「…集めないのか」
まこ「わしの考えが分かる奴がいればと思うとるけど…」
まこ「見つけてもらえるかのう…」
靖子「これだもんな」
まこ「性分なんじゃ!」
靖子「全く…。お前は自分から動けば最強なのにな」
まこ「最強なんて思うとらん」
靖子「でも、見つける奴はいると思うぞ」
まこ「?」

靖子「お前の強さが分かる奴らが集まったら」
靖子「…それはとんでもないチームになるかもな」

まこ「どうやろね…」
靖子「候補は何人かいるんだが…」

オウ ダレカイネエカー?

まこ靖子「「!!」」

靖子「え?誰か来たぞ!?」
まこ「マスコミ関連かもしれん!」
靖子「か、隠れるぞ」
まこ「あっちの雀卓の方に行ってくれんさい」
靖子「あいよ」コソコソ

まこ「はいはーい!いますよー」トテトテ

……………。
…………………………。

まこ「…。なんじゃ、あんたかい…」

純「なんだとはなんだよ」
まこ「マスコミかと思うたわ」
純「…。声で?」
まこ「声で」
純「…なんでだよ!」
まこ「なんでと聞くか」
純「いや、分かってるんだ。分かってるんだけどよ」
まこ「まあまあ、はいりんさい」
純「お、準備中ってなってたけど良いのか?」
まこ「まあ、ちょっと訳ありじゃったけど」
まこ「知らん仲でもないしの」
純「サンキュ。あ、それと…」

まこ「こんな昼間に。りゅうもんさんのとこクビになったか?」
純「俺は料理担当なんだよ!」
純「この時間は暇になるんだよ!」
まこ「冗談じゃ冗談じゃ」ケラケラ
純「ああ、それと、連れがいるんだけどよ」
まこ「ええけええけ。入ってもらいんさい」
まこ「…ん?連れ…?」

純「お前さん、まだ秋季大会エントリーしてないだろ?」
まこ「…アンタまさか」
純「誘いに来た」
純「というか、この人の誘いに乗った」

?「邪魔すっとよ」

まこ「!!」
まこ「アンタ…」


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松実館

ギャーギャー

数絵「改めまして南蒲数絵ともうします」ペッコリン
怜「なんやなんや。そんな畏まらんでも」ゴロゴロ
もこ「園城寺さんはそれだけの人物」ムフー
由華「もこちゃんは本当に園城寺さんが好きなんだねえ」
もこ「エヘヘ」テレテレ
怜「かわええことゆうてくれるなあ、もここは」ゴロゴロ
春「声も出てきた…」ポリポリ

ギャーギャー

怜「いやいや、はるるの膝枕もなかなかやで」ゴロゴロ
春「はい」アーン
怜「お、黒糖サービスやな」アーン
藍子「もー、園城寺さん甘やかされすぎですよー?」
怜「ん。ひたふぇりちゅくしぇりひゃな」コロコロ

真佑子「なんっっで!あんたが!ここにいるのよ!」
淡「こっちの台詞!あー、やだやだ!」
真佑子「なにそれ!こっちも!あーやだやだ!」
淡「真似すんな!」
真佑子「してまちぇーん」
淡「この…!」グヌヌ

春「仲よきことは…」
藍子「あやあ、あれは違うでしょ…」
数絵「止めなくてよいのでしょうか」
怜「ま、たまには喧嘩も必要や」ゴロゴロ
藍子「多治比さんは予選であわあわと当たったんだねえ」

淡「あわあわ言うな!」
真佑子「あわあわ?ププー!」
淡「なによ!良いでしょ!?別に!」
真佑子「いいよ?別に。可愛いー。あわあわー」
淡「こいつ…」グヌヌ

怜「しかし、なんやこのチームは面白いかもやな」
由華「そう言ってもらえると…」
怜「うちの1年はアカンのよ」
数絵「というと?」
怜「なんや調子に乗ってるんやな」
怜「同地区の誘い全部断ってもうてな」
怜「結果似たようなチームになってたけどな」
由華「…。二条さんですか?」
怜「そうそう。なんやたっつん。知っとるんか」
由華「おそらく、二条さんを誘ったのはわたしの先輩です」
怜「んん?そやったん?」
由華「はい、ええと…」
藍子「えっとねえ。どれどれ」スマホイジリー

淡「また直撃させてやる…」ゴッ
真佑子「うっ…」
淡「麻雀で黙らせてやる…」カミノケブワー
淡「弱い癖に!」

真佑子「ぐぬぬ…」キッ
淡「お…」
真佑子「調子に乗るな!」
淡「む…」
真佑子「もう負けないんだから…」キッ
淡「うう…」タジタジ

怜「おー。ほんまや高校同じやんかー」
由華「お恥ずかしい…」
怜「やや、ウチのん誘ってくれて助かるわ」
怜「…。あー、と。あわあわや?」
淡「なに?」
怜「わたしは…。後輩に説教したり苦手なんやけど…」
怜「さっきのは、アカンな」
淡「え…」
怜「らんらん?」
藍子「はいはーい。あわあわこれ見て?」


========================エントリーNo.017

巽由華(晩成高校2年/チームリーダー)
多治比真佑子(松庵女学院2年)
南蒲数絵(平滝高校1年)

チームコンセプト:
我々に地区大会で勝利した方々の強さは皆さんご存知の通り。
しかし、だからこそ我々が弱いわけでないことを
敗北を知る者の戦い方を見せたいと思います。

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淡「あ…」チラ
真佑子「…」ツーン

怜「ぽんちゃんは団体戦出てへんかったんやろ?」
数絵「…」
もこ「ぽんちゃん」ツンツン
数絵「…え。わたしですか?」
怜「ん。そやで。ぽんちゃん」
春「かわいい」ポリポリ
数絵「ええと、他の候補は…」
怜「なんちゃん、ぽかちゃん、ずえずえ」
由華「ずえずえwww」
数絵「…。ぽんちゃんでお願いします」
怜「せやろー、流石やろー」

藍子「話が進んでないですよー」
怜「あ、せやせや、ぽんちゃん魔境長野で個人戦だけ出たん?」
数絵「魔境って…。まあ、確かに、ですかね?」
由華「数絵は5位だったんですよ」
怜「5!?長野で!?代表があの3人やろ?あとは…」
数絵「竹井さんでした」
怜「ああ…。その4人の次か…。そら十分化けもんやがな」
数絵「あはは…」
怜「どないもんか見せてもらうで」キラン
藍子「園城寺さん。あわあわが…」

淡「あの、えっと」アワアワ
怜「あわあわしとるんかwww」
淡「だって…」アワアワ
怜「あわあわ。わたしら全員。負けとるんやで?」
淡「うう…」
怜「勝ち負けと強い弱いをごっちゃにしたらアカン」
淡「はい…」シュン

真佑子「あとさ…」
淡「う、なに…?」
真佑子「あんた、甘やかされすぎ」
怜「うわー、耳がいたいわー」ゴロゴロ
藍子「こらこら」
真佑子「白糸台の面子はここにいないんだよ?」
淡「…うぅ…」
真佑子「…あんたの強さはわたしが一番…」
淡「うわーん。皆がいじめるー」アワー
真佑子「知ってるんだからね…あれ…?」

数絵「大星さん走って行っちゃいましたけど…」
藍子「うわー、これは恥ずかしい」
怜「デレ失敗の図やなあwww」
由華「真佑子…」
真佑子「!!」ガビーン!

もこ春「「おー」」パチパチ

怜「出ました!一流の顔芸!」ヒューヒュー
藍子「持ちネタはずるいですよねえ」

真佑子「ネタじゃないよ!」

カン!

その17へ続く!

【咲-Saki- 3on3SS】Index