くろもちです。

今回は咲-Saki-の本編、アニメ、スピンオフなどなど
全ての関連作品の中でもわたしの中でのベストバウト。

長野県大会決勝副将戦について考えてみたいと思います。

ブログをはじめた当初から、この戦いについて
記事を書きたいなあと思っていまして
ちょこちょこ書いてはいたんですが
どうにも好き過ぎるためか上手く考えが纏まりきらず…。

今回ようやく形になりました。
長文になりますが、是非お付き合いください。

①原村和VS龍門渕透華

この試合以前より、龍門渕透華が原村和をライバル視している描写が見られ
試合開始直前に直接「真のアイドルを決める戦い」であることを宣言します。
(咲-Saki-4巻 34ページ)

ここいらはギャグっぽくされてはいるものの
副将戦はこの2人を中心に進められていく、ように見えます。

実際そう進むのだから見えるだけではないのですが
わたしはこの副将戦、原村和VS龍門渕透華の構図の裏に
咲-Saki-という作品を語る上で非常に大切ないくつもの要素が
とても綺麗な形でちりばめられ、纏められている、と思うのです。

したがって、この和VS透華という分かりやすい構図も
実はそれらを覆い隠すための手段として
使われたのだと思っています。


②妄想特急!お嬢様の妄想が止まらない

さて咲-Saki-において対局中のバトルイメージは
既に皆様御存知の通りだと思います。

阿知賀編においては
コークスクリューグルグルだったり(イメージですよね?)
先鋒戦でのファンタジーバトルイメージだったり
ロン(物理)でおなじみシャープシュートや
森が広がって、からのー?ハーベストタイム
副露するとき釣りしてみたり
そのついでに液体が顔にかかっちゃったり
終いには皆大好き緊縛→ビビクン!のリザベーションと
随分とはっちゃけておりましたよね。
(怜ちゃんはあえていれません)

しかし、これら今や咲-Saki-にはかかせないこの要素
作品に持ち込んで(しまった)くれたのは龍門渕透華でした。

このお嬢様改めて読んでも
興奮しながら妄想を開始したのを皮切りに相当やってくれてます。
(咲-Saki-4巻 48ページ)

仮に、このシーンのファンタジー透華がネット麻雀のアバターだったとしても
原村和のアバターのどっちを長槍で押し倒しちゃったりするあたり
ちょっと、尊敬すべき妄想力ですよね。

ちょいちょい対面の和に羽を生やす妄想をしながら
のどっち覚醒の衝撃をまともに受けたと思ったら
アニメでは興奮し過ぎてアへ顔をさらし
終いには鎖で拘束したのどっちのおもち下を
ガッチリホールドしてペロペロしたり
(咲-Saki-4巻 95~101ページ)
と、まあまあ、やりたい放題です。

この妄想特急お嬢様を経て
県大会決勝戦のイメージバトルにつながり
全国大会、阿知賀編では言わずもがな。

そう考えるとやはりこの副将戦。
非常に大事な一戦であったと思うのです。


③咲-Saki-におけるデジタル打ち

長野県大会副将戦において頻出するワード「デジタル打ち」。

麻雀において「デジタル打ち」とはなんぞや?
というお話は、それだけで記事が書けそうなくらい
非常に長い話になりそうなので一旦おいておきますね。

咲-Saki-世界においては、この戦い以降めっきりその影を潜めます。

唯一阿知賀編での新子憧が速攻デジタル打ちであると
アニメの小野監督が咲らじにて明言していましたが
既に咲-Saki-における「デジタル打ち」と
現実の「デジタル打ち」は乖離していると考えた方が良いと思います。

今後咲-Saki-においては「デジタル=原村和」
というスタンスは変わらないのではないでしょうか。

そして重要なのが藤田プロの記事でも触れましたが
彼女がこの副将戦において
赤ドラありの今年のインハイルールに関して
運の要素が強すぎる事を指摘しており
和と透華を含めた副将戦の面子を
「堅実に技術を高めた選手」と評しています。
(咲-Saki-4巻 40ページ)

つまりはこの時点で
「特殊な子供」=「牌に愛された子」や「オカルト能力持ち」と
「デジタル打ち」=「堅実に技術を高めた選手」≒「非能力持ち」が
明らかに分けて考えられている訳です。


④天江衣の始動と魔物レーダー

上述の「牌に愛された子」と明言された天江衣が
この副将戦最中に始動します。

そして衣の心中、麻雀に関しての思いなどが語られます。
(咲-Saki-4巻 15ページ~、102ページ~)

県大会時点で絶対強者として描かれ
県大会が終了し団体戦敗北の後も
作中、そしてこれが本当に凄いと思いますが読者からも
未だその強さは紛うことなく揺るがないとされている
天江衣が試合に向かっていく緊張感も
大将戦前の副将戦だからこそのものであり
だからこそ、試合中に上述シーンが挟み込まれているのでしょう。

また注目したいのは魔物レーダー。
と勝手に呼んでしまいましたが
あの、ゾクッとかブルッとかいう描写ですね。
この副将戦までに数シーン登場しています。

咲-Saki-1巻 54、79、173ページ
咲-Saki-2巻 21、197ページ
咲-Saki-3巻 162ページ
咲-Saki-4巻 22、94、102、184ページ

主に宮永咲や天江衣に対してゾクブルしているのですが
1巻の後半、咲が藤田靖子プロに対してゾクゾクしていました。
まあ、作品初期であることや相手がプロであること
咲さんがまだ咲ちゃんであったことを鑑みて
対局した感じが「お姉ちゃん≒藤田靖子プロ」
であることについてはあまり納得できてませんが
今回はおいておきますね。

上述咲-Saki-4巻 94ページにおいて
透華が和に対してゾクッとしており
また続く102ページにおいて
衣が何かを察知している描写が見られます。

直前が、妄想お嬢様のペロペロシーンなので
衣がこの妄想を察知してなにやってだあいつ、と思っている
ようにも見えるんですが
素直に受け取れば、覚醒のどっちの力を検知していると思います。

ということは、実は和も
魔物の1人といえるのではないでしょうか。

このシーンだけ切り取ってそう決めつけるのは難しいと思いますが
気になる部分なんですよね。


⑤龍門渕透華は多段階覚醒をする?

長野県大会終了後の4校合同合宿において登場し
(咲-Saki-7巻 161ページ)
昼間とは言え天江衣、宮永咲、藤田靖子プロを完封したため
咲-Saki-世界でも相当上位の強さを誇るであろう冷やし透華。

この副将戦最中においても
龍門渕透華が能力を発動させているように見えるシーンがあります。
前半戦原村和のパーフェクトゲームになりそうであることに気づいたシーンですね。
(咲-Saki-4巻 128ページ)

この後冷やしとは真逆、どちらかと言えば燃え上がるような闘牌で
和のパーフェクトを阻止する訳ですが
これは透華が冷やし透華となる前段階の覚醒であるようにも見えます。

通常→高打点透華→冷やし透華
のような、多段階覚醒を行うのではないか。

というように、作中もしかしたら最強かもしれない龍門渕透華を考察する上でも
この長野県大会副将戦は重要な試合な訳ですね。


⑥咲-Saki-最大の功労者?東横桃子の登場

さて、前半戦原村和のパーフェクトを阻止し
突っ走る妄想お嬢様特急を止めたのは
咲-Saki-にオカルト能力を定着させた功労者
ステルスモモこと東横桃子でした。

実はこの戦いに至るまでも
能力持ちでありそう、もしくは能力発動らしきシーンは
書かれております。

井上純(咲-Saki-2巻 163ページ)
福路美穂子(咲-Saki-2巻 179ページ)
染谷まこ(咲-Saki-3巻 34ページ)

が、該当するシーンなのですが、これらはまだ
③で記した「堅実に技術を高めた選手」の枠にギリギリ入りそうであり
また、明確な「オカルト能力」であるとは書かれていません。

そして、桃子のステルスを目の当たりにした
鶴賀以外のリアクション。
昨年県大会覇者の龍門渕高校のメンバーすらも
プロである藤田靖子ですらも
なにをやっているのか全く理解できない事が起こっている。

これまでの作品からは異質な能力が持ち込まれた瞬間です。

わたし自身、連載当時の本誌を読んだ時の驚愕は忘れられません。

当ブログ最初のご挨拶記事でも書きましたが
この副将戦を見て、とにかくこの漫画を追いかけようと決心し
コミックスを集めるに至った訳です。

正直いうとわたし、咲-Saki-の現在の人気は
桃子無しには語れないんじゃないかと思っております。

それくらい桃子に心を鷲掴みされたのです。


⑦東横桃子が副将戦にもたらした大切なもの


ただ桃子が可愛くて好き、っていうだけじゃ
あまりにもアレなので。

桃子の登場で副将戦はこれまでの

「デジタルVSデジタル」
「真のアイドル対決」

という同じベクトルの戦いから

「デジタルVSオカルト」
「目立つVS目立ちたいVS目立たない」

という異なるベクトルの戦いにシフトします。
この急激なシフトは本当に面白いと思いました。

このために前半戦と後半戦を分けたのではないか
とまで言ってしまうと言い過ぎでしょうか。

わざとらしいばかりにここまで桃子の姿を
頑なに隠し続けたことからも
小林立先生も、この副将戦と東横桃子の登場について
明確な狙いがあったのではないかと思います。

そしてさらに阿知賀編ラストにすら綿々と引き継がれる
それぞれの「思い」「繋がり」で強くなれるという
咲-Saki-世界でおそらく最も重要であろう要素。

これを持ちこんだのも桃子であると思います。

試合開始前には龍門渕透華と国広一の(咲-Saki-4巻 12ページ)
そして原村和と宮永咲の(咲-Saki-4巻 24ページ)
それぞれ「思い」「繋がり」が描かれ
桃子が登場した後の第32局まるまる1話を使い
東横桃子と加治木ゆみについて描かれます。

ここで勘違いしていただきたくないのは
その試合結果如何でそれぞれの「思い」「繋がり」に
優劣がつくわけではない、ということです。

「思い」「繋がり」があるから、強くなる。
ただそれだけのこと。

公式で言われる「3年生ブースト」や
非公式で言われている「iPSブースト」
この概念の根幹はこの副将戦で生まれたと思っています。

そして、女の子同士の懸想に関しても
和や透華がほのめかす描写になっており
桃子はかなりあけっぴろげであるという違いがあります。

副将戦後半戦においての
もう一つの戦いのベクトルは
「クローズ百合」VS「オープン百合」
とでも言いましょうか。

オープン百合の桃子が登場したことにより
今後咲-Saki-世界においての女の子同士のキャッキャウフフがさらに加速し
また読者側に認知されたと言えるのではないでしょうか。


⑧ステルスモモの独壇場っすよ

桃子が作品に登場したのが
前半戦終了時のステルス発動時点と考えると
実質ステルスで戦っていたのは
咲-Saki-4巻142ページ~176ページ
しかも回想シーン含み。
たったこれだけなんですよ。

それなのにあのインパクトを与えてくれた訳ですから。
まさに独壇場っすね。

また、原村和といえば
「そんなオカルトありえません」
という台詞ですが
おそらく桃子は対原村和用のキャラだったと思われます。

というのも、和のアイデンティティを支えるこの台詞が
最も的確に効果的に使われたのがこの県大会副将戦終了時だからです。

この県大会副将戦と対をなす戦いが
全国大会Bブロック2回戦副将戦になると思います。

宮守女子臼沢塞と永水女子薄墨初美が能力対決をする中
原村和がボケ役となる、真顔コント対決になってしまっていましたよね。

あの戦いも、この副将戦があったからこそ
生まれたものだと思うんです。
和のアイデンティティ確立にも一役かった。
まさに独壇場っすね。

さらに、長野県大会副将戦の収支は以下になります。
長野県大会個人戦の記事で計算ミスをやらかしていたみたいなので
あまり自信はないのですが…。
咲-Saki-4巻 140ページ の得点表から2900のやりとり…。
多分、あってるはずです。

前半戦開始時

風越女子高校(起家):91800
清澄高校:108500
鶴賀学園:93400
龍門渕高校:106300

前半戦終了時()内は前半戦開始時からの収支

風越女子高校(起家):80700(-11100)
清澄高校:118800(+10300)
鶴賀学園:78300(-15100)
龍門渕高校:122200(+15900)

後半戦終了時()内は後半戦開始時からの収支/前半戦開始時からの収支

風越女子高校(起家):81300(+600/-10500)
清澄高校:114900(ー3900/+6400)
鶴賀学園:102600(+24300/+9200)
龍門渕高校:101200(-21000/-5100)

副将戦全体の結果を見ると
さほど大きく点数移動していないようですが
後半戦のみで考えると桃子の圧勝と言えるでしょう。
まさに独壇場っすね。

さらにさらに、対原村和のためか
非常にいやらし…いや、スタイルが良いですね。
ステルス能力の関係かおそらく彼女は
他人の目に自分がどううつっているか無頓着であると思われます。

そのせいなのか、なんなのか。
あまりにも性的すぎるのです。彼女は。
つるがいでんの扉絵とか非常にアレです。
まさに独壇場っすね。

強さ議論を行う時も、彼女はわたし達を悩ませてくれます。

桃子のステルスは明らかに能力なのですが
魔物クラスには通用しないだろう、というのが通説になっているようです。
おそらくそれは本編中の台詞にある
対裾花高校の記述によるものと思われます。
(咲-Saki-4巻 151ページ)

ですが、桃子の能力はこれ以降登場する能力と
一線を画するものとわたしは考えます。

なぜなら、桃子のステルスは
牌や場に対してではなく、対戦相手に対して発動するからです。

咲がモニター越しのネット麻雀で牌が見えないようと泣いていたように
桃子の能力はモニター越しでは感知できないようです。

非常に単純な能力に見えるのですが
これから先、作品中に対人効果のある能力は出てくるのでしょうか。
それまで、桃子の能力は咲-Saki-作品最初の能力であるにも関わらず
唯一の対人効果能力として、異彩を放つわけです。
まさに独壇場っすね。


⑨そして大切な妄想/考察の余地について

さて、上述の副将戦収支をもう一度見てもらえますでしょうか。

この戦い、一体誰が勝者と言えるでしょうか。
そして、和、透華、桃子。この3人の強さはどのように捉えられるでしょうか。

長野県大会決勝のこれまでの戦いにおいては
その収支、試合後の各高校の様子から
誰が勝者なのか、明確にされていると思います。

先鋒戦の勝者は 風越女子の福路美穂子
次鋒戦の勝者は 鶴賀学園の妹尾佳織
中堅戦の勝者は 清澄高校の竹井久

で、あればこの副将戦の勝者は一体誰なのか…。
作中では明示されていないんですよね。

また⑧にて、後半戦は桃子の圧勝だと書きましたが
例えば和VS桃子に注目すると
実は和は桃子のステルスの影響を受けてはいないため
和側の視点に立てば、VS桃子について
前半戦と後半戦で条件はなんら変わっていないはずです。

また桃子側の視点に立てば
後半戦は全員がステルスの影響を受けているはず、と思っているので
おそらく全ツッパで戦ったのでしょう。
前半戦と比べ透華と純代が日和っているはず、という条件はつきますが
後半戦は全ツッパの桃子と通常通りの和との戦いな訳ですよね。

副将戦後半戦がほぼ描かれず
各人の上記のような条件と最終収支のみが与えられているため
色々な妄想/考察が可能な余地が生まれる訳です。

これも、この長野県大会副将戦の大きな特徴だと思います。


⑩麻雀という競技の特性

さて、麻雀は4人でやる競技なので
この副将戦にも4人目が必要なんですね。

風越女子の2年生深堀純代さん。

非常に可哀想ではあるのですが
正直言って、彼女はいなくても良かったんです。

なんのストーリーも与えられず
ただただゲームを成立させるためだけに
彼女はあの卓に座らされていたんです。

長野県大会決勝先鋒戦において
鶴賀学園津山睦月が同じような扱いを受けてますね。

そしてこの副将戦でついに
小林立先生開き直ったんじゃないですかね。

咲-Saki-4巻 145ページの1コマ目

純代「」ワタシダケヤキトリ…

というシーンを見て、なんかそう思ったんですよね。

台詞すらも与えられない不遇のキャラクターです。
咲-Saki-という作品、そしてこの副将戦だけを切り抜いても
深堀純代については、なんら描く必要が無かったということですから。

また、麻雀は点取ゲームであるために
誰かが上がれば、誰かの点数が減るわけです。

つまり3人が点数のやりとりをすれば
同時に4人目の点数が変わるわけで
この副将戦に関して考えてみても
深堀純代は後半戦ほんのすこしプラス収支になってはいるものの
それが彼女自身の強さを考える際に関係があるのかといえば
全く無いと思って良いと思います。

ですが、仮に深堀純代がどれくらい強いのかという妄想をする際に
判断材料は、ほぼほぼこの対局しか無いわけですから
あの3人相手に上手くオリられたので守備がうまい、とか評されることになるんですね。

この深堀純代への評価が
麻雀という競技の特性を利用したお話作りの難しさを
如実にあらわしているなあと、思うんです。

そして、この4人目の存在。
ストーリー上で必要とされない存在は麻雀の戦いの中でも必要とされない
という事が浮き彫りにされたという意味でも
咲-Saki-という作品を考える上で
やはりこの副将戦は大事だったのだと思うんです。


⑪最後に

さて、長々と書いてきましたが
今回は以上となります。

長野県大会決勝副将戦はわたしを咲-Saki-に引き込んでくれた
非常に思い出深い試合です。

そしてここまで要素が詰め込まれたお話が
なんとコミックス第4巻一冊に纏まっているのです!

ちなみに、わたしは読みすぎてボロボロになっちゃったので
4巻は2回買い直して、今は3代目になっています。

今回わたしがつらつらと並べた内容を元に
もう一度咲-Saki-4巻を読んでみてもらえたら
こんなに嬉しいことはないです。

お付き合いありがとうございました。

カン!