和「あなたは咲さんじゃない」の続き
もしくは
一「パラレルワールド」の続きです。


ーーーーー狩宿巴サイド
宿舎

巴「久ちゃんは…一体どうしたかったの?」
久(上埜)「どうしたいもなにも…この世界を邪魔されたくなかっただけ」
巴「でもさっき…」
久(上埜)「そうね。ここはわたしが作った世界じゃない」
久(上埜)「あの時…なにもかも嫌になってわたしの世界を作れば良かったのかもしれない」
巴「久ちゃんの世界、って…」
久(上埜)「分裂するのは人格だけだと思う?」
巴「ん…。え?えっ!?それってまさか」
久(上埜)「順番が違うのよ。世界が分裂するから、人格が分裂するの」

美穂子「突変化龍丸を飲んだ人間が中心となって世界が分裂してる?」
久(上埜)「分裂ってよりかはコピーだと思うわ」
久(上埜)「人格だけがずれているから、そこだけ重ならない」
巴「他のすべてはまるっきりのコピーだから、重なって違いは見えない?」
久(上埜)「多分ね。そしてそこから徐々に世界がずれていく」
巴「なにそれ!?そんなの知らないよ!?」

久(上埜)「落ち着きなさい」
巴「…だって!」
久(上埜)「あなたの対処は間違ってなかった」
久(上埜)「ずれる前に分裂人格を対処していったんだから」
巴「結果としてはそうだけど…」

久(上埜)「テレビだってスマホだって」
久(上埜)「仕組みが分からなくても使えるわ」
美穂子「…あの」
久(上埜)「美穂子は一旦置いておくものとします」
美穂子「すみません」

久(上埜)「その突変化龍丸についてだってそう」
久(上埜)「なんでそうなるかなんて分かりゃしないわ」
久(上埜)「…ただ、結果としてそうなる」
久(上埜)「その対処の…そうね、一部をあなた達が知ってる」
久(上埜)「で、その通りに全力で対処した」
久(上埜)「なんの問題も無いわ」

巴「…そう、だね」

久(上埜)「手品と一緒よ」
久(上埜)「違う過程で現象だけを再現してみせる」
久(上埜)「起こった事実だけをを考える…なんて」
久(上埜)「ふふ。あの子は得意そうだけどね」

美穂子「今この中心にいるのは…」
久(上埜)「おそらく咲でしょうね」
美穂子「そうですか…」
久(上埜)「最初に春に連絡をもらった時から…」
久(上埜)「とにかく分裂被害の拡大を防ぐ対処優先」
久(上埜)「ちょっと無理させた部分もあるけどね」
美穂子「無理を…?」

久(上埜)「電波妨害の結界が広がる前にね」
久(上埜)「何人かに連絡できたわ」
久(上埜)「強制的に分裂させて、それから対処する方向に誘導したの」
巴「…鷺森さん、清水谷さんあたり?」
久(上埜)「そうね。あ、もちろんこっちの久が連絡先だけは知ってたわ」
久(上埜)「各高校の部長名簿みたいなものがあるみたいね」

久(上埜)「ま、多少彼女たちの欲望を逆手にとった部分もあるけど」
美穂子「欲望?」
久(上埜)「美穂子は知らないでいいの知らないでいておねがい」
美穂子「???はぁ…」

巴「…そっか…」
久(上埜)「巴」
巴「ん?」
久(上埜)「きついことを言うようだけど」
久(上埜)「今あなたが感じてる…霧島への不信感」
巴「…!」
久(上埜)「それと今回の対処は別に考えてちょうだい」
巴「うん…」

巴「でもこれからどうすれば…」
久(上埜)「無論時間切れを待つつもりは無いんだけど…」

久(上埜)「頼むわよ和…」


ーーーーー国広一サイド
???


一「ちょ!?ええっ!?」
恭子「ん。もう一発いっとくか」
一「やめやめ!かわいそうでしょ!」

恭子「色々考えた結果な」
一「うん」
恭子「多分寝てる間にずれてってんねん」
一「あえ?」
恭子「寝てる間は分裂しない言うてたやろ?」
一「確かそうだったね」
恭子「それはあくまでスタート地点やんか」
一「ん?」

恭子「こっち側から考えたら」
恭子「分裂するキーが…この場合は突変化龍丸を飲んだってことやけど…」
恭子「発動しても寝てれば分裂しない」
恭子「良かった良かった、やな」
一「だね」

恭子「既に分裂してる場合は?」
恭子「これを逆側から考える」
一「へっ?」
恭子「神代から聞いた言うてたインクの話や」
一「えっ、あれ意味分かる?」
恭子「なんとなくやで?インクが人格、レポート用紙が世界」
恭子「そうやったな?」
一「う、うん」

恭子「てことは、染み込んだインクの分だけ世界も増えてる訳や」
一「うん」
恭子「でもやで?元々1枚しか無かったら染み込まへんやろ」
一「まあ、確かに」
恭子「なら前提がおかしい。先にレポート用紙があるから、インクが染みる」
一「先に世界がコピーされるはずってこと?」
恭子「自分で言うててもおかしなこと言うてるんは分かってるけどな?」
恭子「その2枚の違う部分はインクだけや」
恭子「だからそこだけ増えて見える」
一「…」
恭子「まあ、ほんで紙の順番を入れ替えようする側から…」
恭子「要は乗っ取ろうとする側から考えたら…」
恭子「他のインクが増えたら邪魔やねんな」

恭子「ということは…」
恭子「この考え方自体」
恭子「スタート地点は乗っ取る側や」
恭子「インクをこぼして、紙を入れ替えようとする奴がいたはずや」

一「…今いる人格の上書きのために?」
恭子「けったくそ悪いけどそんなんちゃうんかな」

一「…や、でも…。いや…できるのかな?」
恭子「なにが?」
一「あ、ボクの悪い癖なのかもしれないけどね?」
恭子「ふむん」
一「違う方法を考えちゃうんだよね」
恭子「うん?」

一「えっとここにスポンジで出来たボールが2つあるんだけど」ヒョイ
恭子「あえ?どっから出したん?」
一「ちょっと触ってみて」つボール
恭子「ふむん」フニフニ
一「握ったら潰れてちっちゃくなるよ」
恭子「ほんまやな」フニー
一「じゃ、ボール返して」
恭子「はい」つボール
一「あ、じゃあ右手と左手にいっこづつ乗せてもらえる?」テノヒラミセー
恭子「ん」ノセノセ

一「右手にいっこ、左手にいっこ持ってるよね」テニギリー
恭子「せやな、えっこれなんのはなし…」
一「でも左手に2つあるんだよね」ハイ
恭子「うんっ!?」
一「右手にはなにもないよ」ハイ
恭子「んんっ!?」

一「ってことだよね」
恭子「なにがやねん!」

一「なんというかさっきの話ってものすごい非現実的じゃん」
恭子「んまあせやな。霧島が噛んでるとなるともう神話の世界やろ」
一「でも例えば…ボールが消えるなんてのも」
恭子「それやねん!なんやさっきの!」
一「ボクがスポンジのボールを消す能力を持ってるって言ったら信じる?」
恭子「や、まあ…うん。現に消えたしなあ」
一「だよね、消えるって現象を見たら信じるよね」

一「逆に言えば現象が起こってるならそれは真実だよ」
一「だけど、その現象が真実かどうかは見極めなきゃならない」
恭子「うん?」

恭子「逆に考えるのをパクられた上に意味わからん」
一「ボクがさっき見せたのはさ」

一「ボールを消したように見せただけで」
一「ボールをひとつ持ってた左手にボールがふたつあって」
一「ボールをひとつ持ってた右手にボールが無かったってこと」

恭子「…消えてるやん」
一「握れば潰れるんだからこうやって…」
一「親指と人差し指をくっつければ」フニュ
恭子「あ」
一「見えなくはなるよね」
一「手の形と死角になる部分は練習でなんとかなるよ」

恭子「や、でも左手は増え…あっ」
一「そゆこと。ボールは3つあるんだよね」ハイ
一「左手は乗せてもらう前にひとつ隠してあったんだ」フニュ
一「で、ボールをもらったら戻す」
一「戻してふたつ見せてる間に右手のを隠す」ハイ
恭子「おー…」パチパチパチ
一「ふふ。これでボールが消える現象はおこせる訳だよね」

一「だから神話のスタート地点は、双子だったりしたのかもね」
恭子「分裂のスタートか…」
一「双子は忌子なんて時代もあったみたいだし」
一「今は…クローンやらなんやらで…」
一「現象そのものは見せられるかもしれないけど…」
恭子「分裂自体にトリックがある言うことか?」

一「や、それは無いんじゃないかなあ」
恭子「…お」
一「超常的ななにか、で片付けて良いんじゃない?」
恭子「えー…今更そっち方面の結論なん?」
一「それこそ今更でしょ」
恭子「まあ、そらそうなんやけども」

一「見せ方は思いつくかもしれないけど…」
一「言ったじゃん。あるものはある」
一「結果だけ見るしかないよ」

一「ということで咲ちゃんを起こせばいいんだから」
一「デコピンは禁止で」
恭子「そっちかえ!?」

一「かわいそうじゃん」
一「くすぐったりしてみたら?」
恭子「まあ、そうなあ」ワキワキ

一「…クローン…?そんなのが技術的に出来るようになってるのかな…?」


ーーーーー宮永照サイド
???


和「iPS細胞というもので」
和「同性の間でも子供ができるらしいです」

照「なにを急に…」

和「これはオカルトではありません」
和「でも、少し前なら…」
和「こんなことを言ったら馬鹿にされたことでしょう」

和「電気なんてものもかつてはオカルトだったでしょうね」

咲(SS)「のどかちゃん…?」

和「今はオカルトに分類されることでも」
和「後に解明されることは多々あるでしょう」
和「わたしに理解できないことも多々あることでしょう」

和「ですがわたしは」
和「わたしを信じます」
和「だから…」
和「わたしの好きな咲さんを信じているんです」

照「…!」

和「咲さんの邪魔をするなら…」
和「たとえ咲さんの姿をしているあなたでも」
咲(SS)「…」
和「たとえお義姉さんでも」
照「おい」
和「許しません」

咲(SS)「…どうするっていうのさ」
咲(SS)「…もう世界は、ずれちゃってるんだよ?」

照「そうだ…どうにかできるの?」
和「まだ方法はあります」
照「ほんとに?」
和「たぶん」
照「おい」

和「うちの竹井…知ってますね」
照「さっきちょっと挨拶した」
和「悔しいですが…あの人の強さを見習います」

和「あの人も分裂するパターンです」
照「え、でもさっきは…」
和「部長は分裂人格を逆に乗っ取ったらしいです」
和「分裂人格の同意もあったらしいですけど」
照「!?」
咲(SS)「…!」

和「わたしも似たような状態らしいですが」
和「融合と乗っ取りは違うみたいですから」

照「そんなことができたのか…」

和「いつまでも目をそらしてはいられませんよ」
照「…」
和「…すみません。言い過ぎました」

照「だけど…咲は…助けられるのか?」

和「ええ、こちら側の咲さんが…」
和「分裂し強調されたあの人格を…」
和「受け入れ、乗っ取ることができれば!」


カン!


その54へ続く!