嶺上開花マスターのくろもちです。

今回は、久々の長文考察記事。
原村恵さんについて
色々思うことがあったので書いてみたいと思います。

以前書いた個別記事

そして、原村和は孤独になる。


とあわせて読んでもらえたら嬉しいです。

結構な文量になってしまいましたが
最後まで是非お付き合いくださいませ。

原村恵のイメージ


皆さんは原村恵についてどのようなイメージを持っていますでしょうか。

頭が固く、原村和の麻雀の道を邪魔する人。

長野を馬鹿にしてる人。

やたら厳しい人。


という感じでしょうか?

今回は掲題。

実は原村恵さんは娘を溺愛していて
めちゃくちゃ甘やかしているのでは?という方向で
考えてみたいと思います。



検事と弁護士


原村和の家族構成で判明しているのは

お母さんは検事。
お父さんは弁護士。

ということですよね。

検事さん、というのは国家公務員扱いで
2年毎に全国転勤が必須な仕事らしいです。

のどちゃんも阿知賀編1巻p.58で

「母の仕事は2~3年で転属になるらしく…」

と語っていることから、現実に則して考えて良さそうです。

一方弁護士は事務所所属であればその事務所の社員として働き
転勤、転属は支社があれば可能性はありますが
ある程度地域に根ざすことも可能ですし
個人経営になれば、その点についてはかなり自由がきく職業です。

と、なると原村恵さんが
より子供の都合を優先することができるわけです。

まずここがポイントですね。


高遠原中学転校時から想定されるいくつかのパターン


お母さんは、分かっている限り
奈良からおそらく長野へ転勤になっています。

お母さんが登場していないため
ここでいくつかのパターンが考えられるのですが
今回は最も簡単なパターンで考えを進めたいと思います。

つまりは、
奈良 → 長野 は家族で引っ越し
長野 → 東京 で家族会議の結果お母さんが単身赴任
というパターンです。

阿知賀女子転校時や高遠原中学転校時に
既に単身赴任である可能性や
原村恵さんの勤務地がどこであるか
祖父母の存在
などなど、考える数多のパターンについては
今回考えないものとします。



原村恵の子育てプラン


検事が2年毎に転勤があること
そして原村和がおそらく中学2年の春に長野へ転校したことを考えれば
高校進学のタイミングと、高校3年の春にそれぞれ転属があるはず。

お父さんとしては確かにこの
娘の高校進学のタイミング、は重要ですよね。

仮にお母さんがいわゆるA庁である東京転属なのであれば
2年間は親元で家族3人で暮らせますし
ここで東京の進学校への入学が決まれば
高校3年生の1年間は単身赴任も已む無し、と考えていたのかもしれません。

そしてこれは言葉の問題、にはなるのですが

咲-Saki-1巻 p.209~ における父娘の会話。

恵「東京の進学校を蹴ってまで」

という表現がありますね。

単に選択しなかった、というのであれば
蹴ってまで、という強い言葉は使わない気がするのですよね。

ということは、もしかしたら…。

東京の進学校への入学の話を
娘には内緒でかなりの段階まで進めていたのではないでしょうか。

なんらかの裏技的な伝手を使って
もちろん和は勉強もできそうですしさほど問題にはならないはずですが
入学試験についてもある程度の便宜を
的なことまでしていた可能性もありますね。

しかし、娘は

麻雀をしたいから、長野に残りたいと言い出した。

それが、蹴ってまで、という表現に繋がったのではないでしょうか。


父娘の会話について


さて、前述の 咲-Saki-1巻 p.209~ における父娘の会話。

これが、原村恵のイメージを作る大きな要因となるシーンですね。
というよりも、ここ以外にはさほど出番はありません。


父の主張


ここでの原村恵の主張は以下です。

・こんな田舎(長野)の友達がなんの役に立つ(いや立たない)
・麻雀はほぼ運で決まる不毛なゲームだから練習して大会なんてバカバカしい(運だけではないことも知っている)


実はこれだけなんですよね。

・全国優勝をしないと転校させられる

というのは、実は原村和から切り出したことで
原村恵の主張ではないのです。


そしてそもそもの会話の流れとして

恵「練習して大会なんてバカバカしい」
和「では…」
和「高校でも全国優勝できたら…」
和「ここに残ってもいいでしょうか…」
恵「……」
恵「できたら考えよう」

よくよく読んでみると、前後の関係がないんですよ。
会話が繋がっていないのです。

先入観なしに読むと
娘の選択に対して愚痴を言っている図、なんですよね。

それに対して娘が反撃をしてきたことに対して…
父はまともに受け答えはしないでしょうね。

それが、できた考えよう、という答えなのではないでしょうか。



娘の認識


しかし、原村和の認識は

・全国優勝をしないと転校させられる

ということで、これが彼女の今年のインターハイにおいての
モチベーションにも繋がっています。

しかしおそらく、原村和の認識は逆になっているのですね。


①本来は東京に行かなくてはならなかった



②長野に残った



③全国で優勝したら、長野に残ることを考えようと言われた



④優勝しないと長野に残れない


つまりは、全国優勝することを担保に
長野に残ることを許された、という認識になっているのです。

しかしそうすると上述の③は①もしくは②の前に来ないとなりません。

哩姫子のリザベーションではなく
青いネコ型ロボットの先取り約束機なんですね。


父娘の会話の時期


そもそもこのシーンの会話がなされた時期はいつ頃でしょう?
そして何をしているのでしょう?

時期としてはおそらく
清澄入学前、だと思うのです。

ということは、です。
前述のリザベーションを行わなくても
長野に残ること、は既に認められているのです。

そして、この段階ではじめて残る理由を聞いていますね。
理由も何も聞かずに、前述の子育てプランを破棄して
娘の言い分を聞いて、原村恵は長野に残ったわけです。
さらには、はじめての単身赴任となるでしょうね。

これって、激甘だと思うのです。

うるせえ四の五の抜かさず東京行くぞ
誰の金で飯食ってんだ

みたいなことを言い出してもおかしないというか
冒頭のイメージを考えると
むしろそんなことを言う方がイメージと重なりますよね。


そして、何をしているシーンかと考えると…。

父娘のドライブ、ってことは無さそうですし
下手したら 長野 → 東京 へ移動して
お母さんを送り出した後、とかだったりしたら…。

父親としては、愚痴の1つも言いたくなるのではないでしょうか。

そうしたら娘からの想定外のマジレスがあったので
ぐぬぬ、となってしまった図と考えると
少しイメージが変わりますよね。

(※9/15追記)
いくつかのご指摘がありましたが
わたし自身も確認しまして
どうやらこのドライブは
清澄高校合宿所へ送る場面、みたいですね。
(アニメ 咲-Saki-5話「合宿」より)

ですがこの会話の記事が後にずれこんだとしても
長野に残ることが認められていること、自体には
違いは出てきません。

今回の考察には、問題は無いと考えられると思います。

娘の認識その2


仮にその流れだとしたら、原村和が何故マジレスに至ったのか。

それは、もちろん原村恵さんの愚痴の打撃力の高さです。

原村恵は片岡優希個人を貶めているつもりは無いはずです。
ですが、原村和にとっては
その唯一の友人を役に立たない、と馬鹿にされたことになります。

また自分が真剣に打ち込んでいる麻雀を馬鹿にされたことも
要因にはなりそうですが…。

とにかく自分の主張を馬鹿にされた
そして認めてもらえなかった。

という認識だと思うのです。

これについては後述しますが
コミュニケーション不足な気もします。


父のパーソナリティ


咲-Saki-の世界においての麻雀は
我々の世界の麻雀の立ち位置と違うはずですよね。

大きな学生大会が全国ネットで放送され
全国民が注目し、色々な特集雑誌だって発売されている訳ですから。

また、原村和のスーパーデジタル思考をもってして
オカルトゲーム麻雀を支配しようとするその行為は
非常に魅力的だとわたしは思っています。

事実原村和はインターミドル個人戦優勝という
華々しい結果を残しました。

そんな中、麻雀を運だけクソゲーと認識している原村恵さんは
もしかしたら麻雀に何らか思うことがあるのでは、と邪推してしまいます。

それらの妄想は以前書きましたこちら

宮永姉妹の謎。照と咲、両方の言い分が正しいと考えると…。


に詳細がありますので、気になった方は読んでみてください。


父が娘に望むこと


咲らじにおいては、

咲-Saki-の麻雀 = 我々の世界の野球

などという紹介のされ方をしていましたが
それであれば、プロ雀士になれることについては
喜びこそすれ、では無いかなと思うのですよね。

プロ雀士は安定した職業では無いから…
という意見については
そもそも彼の職業を思い出してみてください。

弁護士です。

弁護士は
実は年金も固定収入も退職金も天下り先もない
事実、安定とはかけ離れた職業です。

また、弁護士になるには国家試験にパスしなければならず
原村恵もそれ相応の学力を持っているはずです。

で、あればこそ
高校の進学校に行くこと
にさほどの意味が無いことも分かっているはずだと思います。

大学進学程度の学力であれば
基本的には個々人の努力でどうにかするものであり
高校の授業そのものには、ほぼ意味がありませんからね。

となると、父が娘に望んだことは
東京の進学校へ行くこと、ではなく

家族で一緒に暮らすこと
そして、将来の職業選択の視野を狭めないで欲しいこと

だったのではないでしょうか。

この時点でまだ原村和は中学3年生です。
麻雀(遊び)に打ち込むのもいいがほどほどにしときなさい、という姿勢や
前述の娘の我儘を理由も聞かずに飲み込み、長野に残ったこと
などを考えると原村恵さんは娘のことをよく考えている
娘大好き激甘お父さんだと言えるのではないでしょうか。

もし、そうだったとしたら…。
まあ、だったらそう言えば良いじゃん、なんですけれども…。

思春期の娘に対して上手くコミュニケーションを取れない父の図
と考えても良いのではないでしょうかね?

もしかしたら色々愚痴のようになってしまいましたが
なんだかんだ言ったことに関しても
結果としてはのどちゃんのモチベーションに繋がっている訳で
実は彼一流の励ましなのではないか、とか。

小学生や中学生時分での転校は
かなりのストレスを子供に与えるのを知っているので
結果孤独を恐れるようになった娘に対して
ちょっと負い目を感じてる、とか。

あるかもしれません。


娘が父に望むこと


これまで書いてきた内容は大人側の視点です。
中学3年生の原村和視点でみれば…。

おそらく前述父娘の会話
他にもいくつもの話題はあったのでしょうが
父の主張、としてあげた点。

・友人がすばらな友人であること
・麻雀が運だけのゲームではなくロジカルに支配できるであろう(と彼女が思っている)こと

この2つは特に原村和にとってクリティカルな問題だと思います。

そして、もしかしたら彼女自身が気づいているであろう
親の転勤に関しての負い目について
その境遇において、原村和自身が生き方を選択し
前向きに生きていること
つまりはそのような負い目を感じる必要がない、ということ

これらを認めて欲しい、ということなのかなと思うのです。

自分の選択を、親に納得してもらえない
そして応援してもらえない

これは子供にとって非常に苦痛な
そして深刻な問題になるはずです。

認めた上で応援してもらえるなら
こんなにすばらなことはありませんからね。

現時点の原村和の
全国にいかなくてはならない
優勝しなくてはならない

というのもその実
転校しなくてはならないから
というよりも
これらを認めてもらいたいから
といった面が強いのではないでしょうか。


仮に全国優勝できなかったとしたら


さて、長々と書いてきましたが、この

全国優勝できなかったら東京へ行かなくてはならない

という部分が、メタ的にストーリー展開を予想する際に
念頭に入れられている方も多いように思います。

だからこそ、清澄が優勝する
もしくは咲と和の別離を描くために清澄は優勝できない

などなど…。

しかしわたしは
今回長々と書いてきたような理由で

原村恵は
原村和が全国優勝出来なかったことを理由に
東京へ引っ越しをさせることはしない

と考えます。

ですが、です。
これも前述の逆リザベーション、もしくは先取り約束機
を反故にできないと考える原村和自身が
転校を選択する、ということはあり得るかもしれません。

とはいえ、今回詳細は省略しますが
わたしは清澄全国優勝は無いのでは、と予想しています。

個人戦は原村和が優勝、したらいいなあと考えていますけどね!



最後に


そもそもで言いますと
今回こんなことを考えたのは

こんな娘がいたら溺愛しないわけがない!ババーン!

という、単純な理由なんですね。

父親からして、こんなすばらな娘がいたら
それは溺愛して、甘やかしまくりますでしょ?

悪いのに引っかかったりしないかー、とか
こんな雑誌に娘が載っちゃったらー、とか
心配しまくりですよね、きっと。



近所の本屋で娘掲載の雑誌を買い占めたり
これ実は娘なんです、とか本屋の店員に言っちゃったり
留置所に面会に行くとき差し入れてみたり
なんかそんな原村恵さんも見てみたいですよね。

そんな中、娘に恋人を紹介しますとか言われて
ついにこの時が来たか-、とか
くだらない奴だったらぶん殴る、とか
考えていた矢先に
登場したのが咲さんだったときの驚愕とか…。

松実館で娘自慢対決をして
マジ喧嘩はじめちゃうとかとか…。

色々そんなことも妄想してみました。

ということで今回は以上!

お付き合いありがとうございました。

カン!

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