透華「こちらで守るべきはエイスリンさんただ1人」 エイスリン「オマモリクダサレ!」の続き
もしくは
憧「ハルエのこと?」 灼「なんのことやら…」の続き
もしくは
霞「一口に姉妹と言っても…。色々な形があるからね」 初美「実感がこもってますねー?」の続きです。


ーーーー国広一サイド
???

一「とは言ったものの…」トテトテ
咲「はい?」トテトテ
一「…いや、どうしたもんかなあと思ってね」
咲「えっ、何か考えがあった訳では…」
一「無い無い」
咲「…まあ、そうですよね」

一「咲ちゃんはさ」
咲「はい?」
一「今起きてるんだよね?」
咲「起きてますよー」
一「んー…ちょっといいかな?」サキノアタマカカエ
咲「えっ、えっ?」
一「えい」アタマグリグリ
咲「ひゃあー」
一「んー」アタマハナシー
咲「えっ、一体何を…」
一「いやあ、さっき言ってたじゃん?」
咲「何が何だか」

一「や、夢の中で寝たって」
咲「ああ、はい」
一「グリグリしたら起きるかなあって」
咲「さっき起きてるって言ったじゃないですかー」
一「それ寝言でも言ってたんだよねえ」
咲「えー」

一「今、起きてるって感覚はあるんだよね?」
咲「はい」
一「んー、でもまあ明晰夢でも無い限りはそんなもんだよねえ」
咲「明晰夢って、夢だと思ってる夢でしたっけ?」
一「そそ。まあボクがここにいて喋ってるのがおかしいんだよねきっと」
咲「はじめさんが言ってたやつ…」
一「ん?」
咲「わたしが引きずり込んだのかもしれません」
一「…そっかあ」
咲「…すみません」
一「なにが?」
咲「いや、わたしが原因で…」

一「なに言ってんの。原因かどうかなんて分からないじゃん」
咲「でも…」シュン
一「はいはい、落ち込んでたってどうにもならないよ!」
咲「…はい」シュン
一「…もう」ナデナデ
咲「…」ナデラレナデラレ

一「分からないけどさあ?」
咲「…はい」
一「別に迷惑かけたからって気にする必要は無いんじゃないかなあ?」
咲「え…?」
一「いや、それは言い過ぎかもだけどさ」
一「咲ちゃんはさ」
咲「はい」
一「他人に嫌われるのが怖いのかな?」
咲「…!!」

一「やっぱりかあ…」
咲「わたし…」
一「うん」
咲「お姉ちゃんに…嫌われちゃったから…」
一「お姉ちゃん…。宮永照?」
咲「…はい」
一「そっか」
咲「…」

一「…あのさ、咲ちゃん」
咲「…はい」
一「そんなに偉そうな事は言えないけどね」
一「なんだろ。人って生きてる限り迷惑をかけちゃうものだと思うんだ」
一「だから多分誰かに迷惑をかけてるし」
一「おんなじように、かけられてるんだと思うんだよね」
一「んー、だからあんまり迷惑をかけないように、って思ってると」
一「ああ、この人は迷惑をかけられたくないんだな、って思われちゃうかもよ」
咲「えっ…。そんな、わたし…」

一「やや、そういう風に思われるかもしれないってことでね?」
咲「そうなんですかね…」
一「なんだろう、生きてる限りさ」
一「常にギブアンドテイクにはできないんだよ、きっと」
一「ボクなんてそんなこと考えてたらさ」
一「透華にはどうやったって返せないもんね」アハハ

咲「はじめさんの、その、ご家族は…」
一「ん?血の繋がった家族はもういないよ」
咲「そう、なんですか?」
一「まあ、どこかにはいるのかもしれないけど、なんかどうでもいいな」
一「今は、龍門渕の皆が、ボクの家族だからさ」
咲「新しい家族、なんですね」
一「うん。それになんだろう、もうちょっと鈍感になった方がいいと思うな」
咲「鈍感、ですか?」

一「うん。なんていうかさ、咲ちゃんはきっと勘がいいと思うんだよね」
一「相手の事を察するというか、思いやるというか…」
咲「そんな…」
一「いいからいいから。だけどね?」
一「例えば、こんな事したら相手に嫌われちゃうかも、とか」
一「迷惑がかかっちゃうかも、とか」
一「そうやって先回りしすぎて」
一「自分の気持ちをしまっちゃったりすること多いんじゃない?」
咲「…どうなんでしょう?」

一「でも、それってさ」
一「自分がこうしたら、この人はこう思うんだろうなあ、とか」
一「あ、きっとこの人はこう思ってるんだ、とか」
一「勝手に決めつけちゃう事にも似てるんだよ?」
咲「…勝手に決めつける…」
一「さっき言ったことだけどさ」
一「咲ちゃんだって、相手の事を思って、しまっちゃうことが事あるんじゃない?」
一「おんなじように相手がしていることだって、あると思うんだ」
咲「…!!」

一「だから、良いんだよ鈍感で」
一「もっと言えば、鈍感な振りをしても良いんだよ」
咲「鈍感な振り…」
一「そそ。言ってくれなきゃ分からないよ、ってさ」
一「相手もそれを望んでるかもしれないし」
一「相手が何も言わないなら、何も言えないのかもしれないし」
一「でも、それじゃあ、分からないよ、ってさ」
咲「…お姉ちゃんは」
一「うん?」
咲「わたしが会いに行った時、何も喋ってくれなかったんです」
一「そっか」
咲「だから、わた、わたし、きらわ、嫌われて、るんだと、おも、思って」ジワ

一「そっか。じゃあ、言ってやれば良いんだよ」
一「言ってくれなきゃ、分からないよ、って」
一「言わなくても伝わるなら、それでも良いけどさ」
一「言わないで、聞かないで、誤解するなんて、勿体無いよ」
咲「…でも、きっと…」
一「ほらね?分からないんだよ」
咲「…うう、そうなんですかね」
一「それとさ、きっととどうせって似てるんだよ?」
咲「どうせ…?」
一「そう、相手はきっとこう思ってる、ってことはさ」
一「相手はどうせこう思ってる、とイコールになっちゃう場合があるんだよ?」
咲「どうせ…」
一「そそ、それってさ、相手にも失礼だったりするんじゃないかなあ」
咲「…じゃあ、お姉ちゃんは…」

一「ボクにはわからないけど…」
一「きっと」
一「咲ちゃんのこと、嫌ってなんていないと思うよ」
咲「…うう…」ジワワ
一「もう…」ギュー
咲「ふえええ…」ギュー

一「これがさ、きっと、の正しい使い方だよ」ナデナデ
一「きっと、ね」ナデナデ


ーーーーー大お泊り会実行委員会支部 偵察隊サイド
大会会場側

桃子「到着っすねえ」
佳織「池田さんは凄いですねえ」
華菜「いや!?全然凄くないし!?」
佳織「凄いよねえ」
桃子「凄いっす」
華菜「えー…?」

ゆみ「おそらくはこの地点で合流することになるはずだが…」キョロキョロ

ギャーギャー

ゆみ「ん?」
桃子「あれ、阿知賀のジャージさんじゃないっすか?」
ゆみ「ああ、本当だ。他にも見たことがある奴らが…」

ギュオオオオオオ!

ゆみ「えっ?」
桃子「あ、あれ蒲原部長の…」
佳織「智美ちゃんの車だけど…」

ギュオオオオオオ!

華菜「同じのが2台いるし!?」

桃子「なんか巫女さんがいるっすよ!?」

佳織「あぶないっ!」

ゆみ「お、おい待て!」


ドンッ…!


コマキー!


ーーーーー蒲原智美サイド
車中

絹恵「そろそろ追い詰めた感じ?」
浩子「そやね。もう大会会場に着くし…」
衣「行け行けー!」
智美「ワハハー!おーよ!」

泉「あー…。ちょっと気になったんですけどね」

洋榎「なんやいたんか二条www」
泉「もうずっと虫の息ですわ…」
絹恵「え?ほんでどないしたん?」
泉「や、なんや結界云々言ってましたやんか」
浩子「うん。言うてたなあ」
泉「前走ってるあいつらが結界作ってるとしますやんか」
絹恵「ふんふん」

泉「その結界が、入ってこないようにしてるんやったらどないしますのん?」

洋榎浩子絹恵「「「…は?」」」

泉「や、電話使えないのんが結界のせいやとしますやんか」
泉「それだけやとウチらに都合悪いですけど…」
泉「結界がさっき言うてたみたいに」
泉「出られないように、入れないようにってことやとしたら…」
泉「むしろウチらを守ってるみたいなこともあるんかなあ思いまして」

洋榎浩子絹恵「「「…」」」

泉「や、まあ適当言うただけなんで…」

洋榎浩子絹恵「「「はよ言えや!」」」

泉「はぁ…。そらすんません」

浩子「ちょ、待って。泉、なんかそれものっそい重要かもしれんぞ」
絹恵「結界消したらアカン言うこと?」
洋榎「…あの分裂した奴らが出られへんようにか…?」
浩子「わからんけど…。その可能性十分あり得る気がするわ」

ヤイノヤイノ

泉(余計なこと言うたかなあ…)

衣「あー!」
智美「おいおいおいおいおい!」

洋榎「うん?どないしたんや?」

智美「掴まれ!ブレーキかける!」

キキーーーーー

絹恵「あわわわ!」
浩子「ってえ、アカンアカンアカン!」
洋榎「おわっ!前の車!」
絹恵「嘘やん!あれ永水の神代さんやろ!」
洋榎「避けなアカンやん!」
浩子「ちょ!跳ね飛ばしたで!?」

智美「何やってんだ!あいつ!」
智美「っていうか、わたしなのか!?」


カン!

その35へ続く!

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